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028_H.Hさん 「夢がある」 今を目指して

 細野さんは、お孫さんの初節句の時に出したこいのぼりの写真を見せてくれた。そこには、とても立派なこいのぼりが写っていた。こいのぼりを最後に見たのはいつだろう。
今の時代こいのぼりをあげることも珍しくなってきている、もしかすると今の小学生達はこいのぼりを知ってはいても実際に空をおよぐ姿を見たことのある子供は少ないのでないだろうか、私自身ももう何年も空をおよぐこいのぼりを見ていない。
写真を見ながら細野さんは「だんだんこういう行事も無くなっちゃうね。」という。

 細野さんは昔農家でしたが、ニュータウン計画で川が整備されてしまい、川幅が狭くなり水を引くことができなくなってしまい、農家やれなくなってしまい建設業はじめました。

 ニュータウン計画がはじまる前、まだ細野さんが農家をしていたころは、家の鍵をかけなくても近所の人はみんな知り合いだったから大丈夫だった。しかし、今は知らない人がいっぱいいる。「今の時代鍵をかけて家の中で自分の世界にいたほうが楽、昔みたいな近所付き合いは若い人はしないでしょ。」

細野さんは今でも地域との交流を続けている。
昨年の雪がたくさん降った時、近所の高校の通学路が雪でふさがれてしまって先生たちが困っていたので、スコップを貸し出したり、建設業で使っている車を出したりしたそうだ。
このような付き合いの結果、高校の先生方に信頼されて、高校の運動会で近所から苦情ありパトカーまで出てきて困った先生が細野さんに相談に来るほどになっていた。「おかげで高校には顔が利く」と、笑って話してくれた。

細野さんは今息子さん家族と一緒に生活をしています。「お嫁さんと一緒に暮らすのは大変じゃないですか?お嫁さんと喧嘩しないの?」と聞かれたことがあったが「みんなバカだから喧嘩しない。」と冗談を言いながら答えたそうだ。
若い人はみんな家を出て働きにいくので、その場所にマンションなど買うなり借りるなりして住んじゃうから、なかなか実家に帰らない。だから、住んでいた両親が亡くなると子供も帰らなくなりそこが空き家になってしまう。「昔とは変わった、夢がないね、日本はどうなってしまうのだろう。」細野さんは目線を落としてそう言った。

しかし、私は気づいた。細野さんは家族の話をする時はとても楽しそうだ。
お嫁さんが食べることの好きな人でよく一緒に食べに行くことや、娘さんが勤め先のアルバイトの苦学生の子に家にあったいただき物をわけてあげたことや、お孫さんがスケボーとバイクが好きで将来は海外のバイク屋で働きたいと言っていることなど。
家族の話をしている時の細野さんはずっと笑顔で楽しそうに話してくれた。本当に仲のいいご家族だなと感じた。

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