033
033_M.Tさん 居ながらにして人に集まってもらえる
「二人で奥に引きこもって、テレビなんか見ている老後って、想像すると、ぞっとしたんです」と、竹中美重子さん(愛称ミミさん)。小柄でチャーミングな声。とても81歳には見えない。
ミミさんは、3年前、ご主人とともに、自宅を開放して「コミュニティカフェ」を始めた。
地域における「居場所」だ。
高齢者から子育てママまで、憩いの場として使ってほしい、それが願いだ。
何もわからないまま、いきなり、始めたカフェだった。
でも、次から次といろんな人がお手伝いに来てくれた。
“こんなにもみんな助けてくれるものか”……「これは発見でしたね」。
「人が人を呼び、自分のできないことをやってくれるんです」
「戻ったら何をしようかね」
長年勤めた服飾学校のデザイナーの教授を65歳で定年退職。ほぼ同時に、「1年ぐらい」と軽い気持ちで、移り住んだ長野。そのまま13年過ごした。
「戻ったら何をしようかね」――東京に戻る決心をしたとき、ご主人と話し合ったのが、それだった!
もう70歳の後半に入っていた。
「何もしなくてもよかったんじゃないですか」とやんわり問いかけると、「そうじゃないですよ」というように、にこやかな笑顔が返ってきた。
「居ながらにして人に集まってもらえる! 孤独にならなくてすむ。ですから、半分は自分たちのためね」
う~ん、それはわかる。だからといって「自宅を開放する」までできるものだろうか。
「大勢の人に来ていただいて、一緒に、楽しくわいわいやるのが好きなんです」
長野でもそうしていた。
出会いが生まれるのがうれしい
子供の頃、父がよくお客さんを家につれてきた。
「大好きでした、お客さん。賑やかなのが大好きな、目立ちたがり屋の私でした」
でも、挫折した。
父の転勤で学校が変わると自分の世界に閉じこもってしまった。押さえつけられてしまった。
ものすごく引っ込み思案になり、立ち直ったのは大人になってからだった。
「私、寂しがり屋なんです。こうやって今、話をしていても、その人が帰ってしまって一人になると、とっても寂しい思いをするのです」
・・・・・・・・・・・・・・